2010/03/01

15の春


今日から3月
卒業や進学、そんな新しい一歩を踏み出す時期

ヘルマン・ヘッセの小説”ガラス玉演戯”に
綴られた「階段」という詩が大好きです。

***

「階段」 
     ヘッセ/高橋健二(訳)

花がみなしぼむように、
青春が老いに屈するように、
一生の各階段も知恵も徳もみな、その時々に
花を開くのであって、永続は許されない。
生の呼び声を聞くごとに、心は、
勇敢に、悲しまずに、
新しい別な束縛にはいるように、
別れと再開の覚悟をしなければならない。
およそ事の初めには不思議な力が宿っている。
それがわれわれを守り、生きるよすがとなる。

われわれは空間をつぎつぎと朗らかに渉破せねばならない。
どの場所にも、故郷に対するような執着を持ってはならない。
宇宙の精神はわれわれをとらえようとも狭めようともせず、
われわれを一段一段高め広めようとする。
ある生活圏に根をおろし、
居心地よく住みついてしまうと、弾力を失いやすい。
発足と旅の覚悟のできているものだけが、
習慣のまひ作用から脱却できるだろう。

臨終のときも、なおわれわれを新たな空間へ向け
若々しく送ることがあるかもしれない。
われわれに呼びかける生の呼び声は、決して終わることはないだろう。
では、よし、心よ、別れを告げ、すこやかになれ!

***

あらためて読んでみて思う事は
毎日が階段なのだ、という事。
今日と違う明日を
恐れてはいけない事。

東京の公立高校は
今日が合格発表日。
15歳の春を目にして
事の初めに宿る不思議な力に
たくさんの元気をもらいました。