2023/07/12

百日紅(サルスベリ)

庭の百日紅が今年も元気に咲いた。

一年前は病院の窓から満開の大きな百日紅を

眺めていた。

悪性リンパ腫という病気だと分かったのは

去年の今頃。1ヶ月入院し年末まで4ヶ月間

抗癌剤治療を続けた。

これが上手く行った。病気が正確に特定でき

その治療方法が確立していたからだ。

何より僕の身体が抗癌剤に負けずにいてくれた

事も大きい。


全てが初めて経験だった。

命が無くなるかも知れないと言う事に関して

想像力は十分に発揮できなかった。

崇高な思いなど確立されずに、相続だとか

知人友人への連絡だとか事務的な事ばかり

頭をよぎった。


一生無理かもと思っていた早起きが普通にできた。

その間はお酒も飲まなかった。敵が明確だった。

やるべき事がシンプルだった。

元気に生きると言う事だ。



身体から癌が消えて寛解した後は、ゆっくりと

元に戻った。体重も起きる時間もお酒も。


今年は還暦を過ぎ、本厄も終え61歳になる。

仕事は昨年そんな事もあり定年退職をした。

そして今は就職活動中だ。


第二の人生と良く言うけれど、実感としては

一も二もなく多分今は川の良い流れの中の一瞬だ。


そんな風に思える事は、昨年の経験が

あったからなのかも知れない。


なんとなくだけれど、全体的にザクっと

満遍なく言いたい事は

「ありがとうございました(万物に)」

と言う事、本当に。