2006/05/05

As is now


ポール・ウェラー「AS IS NOW」
昨年の秋に発売されたアルバムです。

買おう買おう・・・と思いつつなんとなく
伸び伸びになっていましたが、先日購入。

この"ざらついた" ロックの感触に撃たれています。

「荒削り」とか「ワイルド」さを演じる
多くの円熟したミュージシャンに対し
ポール・ウェラーのアプローチは決定的に何かが違う…。
不安定に何かがはみ出ている。
おやっ?と思う過剰な音
聴き手が想定している範囲を
ギラギラっとはみ出してくる「力」が
このザラザラ感なのではないかと睨んでいます。

実はポール・ウェラーの熱心なリスナーではありませんでした。
80年代のスタイル・カウンシル時代を聴いていただけで
解散後のソロ時代の音をじっくり聴くのは
今回のアルバムがはじめてです。
僕の中でポール・ウェラーの声は27歳当時のものと
47歳の今の声、2つしかなく
一人の男の20年の歩みを敬意と微笑みを持って味わってます。

***

先月、友人が他界しました。
学生時代の終わりに会って以来
会うことがないままの別離でした。

「お前の話す内容は全然"自分の言葉"になってないな・・・」
20年前、一晩中語り合った最後に、彼が僕に放った言葉でした。
旅人だった彼が接してきた自然を相手に働いている人たち
(牧場主や漁師・・・)の言葉に比べ
僕の言葉がどれほど借り物でチープなものであるかと
比較をされ、痛く突かれた思いでした。

再会のきっかけを失っていたのは、そんな言葉への
つまらぬ意地だった事が悔やまれます。

この悲しみの「意味」を
ずっと探していました。
同時に何かに突き動かされていたような
ここ数週間でした。

お別れは
見失っていた自分への気づき、と
新しい出会いを
与えてくれたのかも知れません。

AS IS NOW
 
昔のように、でなく
夢のように、でもなく