梅雨に戻ったような夏の日々、今年ももう8月に。
先月は得るより無くしてしまうような事が多かった。
そんな中で見た映画「Biutiful」
僕はこの映画の中に「光」は見えませんでした。
見終えた後に残ったものは「希望のない切なさ」だけ。
だから本当に辛かった。
現代のバルセロナを舞台に、余命2ヶ月と診断された男は
散らかった人生に納得の行く幕引きができないまま息絶える。
そんなストーリーの余韻がいつまでも消えなかった。
対応策(?)として、翌週レンタルDVDで「GANTZ」を観た。
死んだはずの人間が不思議な世界で生き返ったりする物語
(ちょっと内容説明を端折りすぎですが・・・)。
その翌週は「アウトレージ」(北野武監督)を観た。
これはそんなことで人は殺されてしまう・・・という映画。
少し「Biutiful」の辛さが中和された。
死があるから生がある。どういう状況であれ
「生」は「生」なのだ。
一昨日、コンゴトロニクスのライヴに行き、歓喜の中で踊った。
アフリカ音楽のパワーに身を委ね、その豊かさに甘えてみた。
この幸福な「生」のひと時を噛みしめてみる。
音楽の喜びを(その喜びの本質を)僕に教えてくれたのは
先月亡くなられた音楽評論家の中村とうようさんだった。
とうようさんは全てやりきった人生だったのだと思う。
「生」の終わりは、祝福の中で見送られない事も
受け入れなくては行けない現実。
ありがとうございました、とうようさん。
そして僕は、もう一度「Biutiful」を見てもいいぞと
思えるようになった。
「Biutiful」
2010年スペイン・メキシコ合作映画
配給:ファントム・フィルム
http://biutiful.jp/index.html