2005/11/09

M'BEMBA


サリフの音を前にすると
ただ聞き入るしか術のない自分に気づく。

温か味が加わった深く圧倒的な声量と
民族楽器のアコーステックな響き。
そして
豊かな音の海に
静かに流れている哀しみ
(彼の運命による処の)が
彼の音楽をより広大にしている。

そうした音は
文化で括られた喜怒哀楽とは
異なる感覚に、揺さぶりを
かけてくるようだ。

3年振りの新作「M'BEMBA」は
(ムベンバは"祖先"の意味)
遠い一人の先祖から生まれた
共通のDNAに
メッセージを
送っているのかもしれない。

そういうレベルにおいて
サリフは圧巻な存在だ。