庭の百日紅が今年も元気に咲いた。
一年前は病院の窓から満開の大きな百日紅を
眺めていた。
悪性リンパ腫という病気だと分かったのは
去年の今頃。1ヶ月入院し年末まで4ヶ月間
抗癌剤治療を続けた。
全てが初めて経験だった。
命が無くなるかも知れないと言う事に関して
想像力は十分に発揮できなかった。
崇高な思いなど確立されずに、相続だとか
知人友人への連絡だとか事務的な事ばかり
頭をよぎった。
一生無理かもと思っていた早起きが普通にできた。
その間はお酒も飲まなかった。敵が明確だった。
やるべき事がシンプルだった。
元気に生きると言う事だ。
身体から癌が消えて寛解した後は、ゆっくりと
元に戻った。体重も起きる時間もお酒も。
今年は還暦を過ぎ、本厄も終え61歳になる。
仕事は昨年そんな事もあり定年退職をした。
そして今は就職活動中だ。
第二の人生と良く言うけれど、実感としては
一も二もなく多分今は川の良い流れの中の一瞬だ。
そんな風に思える事は、昨年の経験が
あったからなのかも知れない。
なんとなくだけれど、全体的にザクっと
満遍なく言いたい事は
「ありがとうございました(万物に)」
と言う事、本当に。